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「IKEA meets JAPAN イケアの日本進出戦略と環境への取組み」(講演録)
 1月16日に法政大学で開催されたイケアジャパン(株)社長、Lars Petersson氏の講演要旨をHPにアップします。講演録は、MPSジャパンの津田歌世子さんが作成してくれたものです。
 講演そのものもすばらしかったですが、質疑応答の充実が印象的でした。また、学部生が外資の社長さんに、きちんとポイントをついた質問ができていたことが、主催者の大学の先生師としてはうれしく感じました。
 * * *
1.JFMA顧問遠藤次男氏よりご挨拶及びIKEAの紹介
 IKEAは1943年創業、現在33カ国250店舗、2兆1千億円の売り上げ
日本は船橋と新横浜に店舗がある
 IKEAジャパン社長の職歴は1983年イケアスウェーデン入社、
 イケアイタリア・リテールマネージャー、
 イケアインターナショナル・マ ーケティングマネージャーを経て
 イケアジャパン代表取締役社長に就任
イケアジャパンは現在、神戸・大阪・埼玉に店舗展開を計画中である
イケアは環境・家族・子供を大切にするという理念をもち、最大でなく最高をめざす会社である。

2.Lars Petersson社長セミナー
 <講演抄録>
 まず、イケアについて少し説明をする。イケアは1983年にスウェーデンで創立された。
創立者はイングウ”ラル-カンプラード氏であり、アグナリッドという都市の、エルムタリッドで創立されたためその頭文字をとりIKEAとした。現在、34カ国において、237店舗を展開中であり、2006年8月現在、4億1000万の来店者、1億7500万カタログ発行部数、3億件のWebアクセスを誇る。イケアは現在急速に発展している企業であり、過去10年間で4倍に成長。2兆円昨年の売り上げであった。
 ヨーロッパでの売り上げが全体の80%であり、アジア3%、北米17%となっている。またそのトップは、ドイツ17%、アメリカ12%、フランス、スウェーデンなどとなっている。
 簡単な歴史としては、
 1943年 創立
 1955年 独自の商品開発開始
 1956年 フラットパック性導入
 1965年 セルフサービス導入
 1973年 スイス出店
 1998年 中国一号店出店
 1998年 ロシア一号店出店
 2006年 日本一号店出店
となっている。また、イケアの会社理念は、より快適な毎日をより多くの人々に提供するというものであり、そのビジネス理念は、良質のデザインと機能性をもつ家具を、手ごろな価格で提供するということである。
イケアの日本進出に関して述べると、まず日本への出店に先駆けて、日本の家庭を100軒訪問し、写真を撮り、そこからイケアの役割がたくさんあることを学んだが、そこでは特に収納が必要であると感じた。また、日本の消費者には“はやくお家に帰りましょう”というメッセージを発信することとした。イケアのモットーは、家庭は世界でもっとも大切な場所であり、子供は世界でもっとも大切な人であるというものであるのだが、会社は世界でもっとも大切な場所ではないにもかかわらず、日本の男性の帰宅時間は遅い。対して、スウェーデンでは6時には帰宅している。イケアはこれをよいビジネスチャンスであるとし、日本の地下鉄の駅で、家庭に関する声明文を張り出したりした。
 イケアは日本での店舗展開としては船橋、新横浜で現在出店している。1号店の出展の前に、東京で4畳半ミュージアムを展開したがこれは、14の異なる4畳半の異なる部屋を展示するというものであった。また、情報発信としては、山手線内での広告、駅、階段、バスの車体広告、新聞の折り込み広告などを実施した。また、一般家庭のベランダののっとり広告も展開した。カタログ配布、ウェブでの情報発信をおこない、TV広告も行った。(ここで、イケアを紹介するTV番組を放映した:イケアの安さの秘密は〜箸瀘て家具とすることによる省スペース、物流コストの削減。価格を設定してからデザインを開始するので、無駄を省くことができる。セルフサービスでの購入。などにある。)
 開店時、日本1号店の船橋店では3万5000人の来場が初日にあった。その後、イケア港北店(2号店)を新横浜に開店した。ここは駅から少し遠いため、店からバスが往復している。
日本のイケアのストアレストランはスウェーデンならではのメニューを提供し、大成功を収めた。また、店内にはスウェーデンのフードマーケットもある。また、店内のサービスとしては子供を一時預かる場所も提供している。また、イケアファミリーという会員制も導入している。
 花きについて述べると、イケアは、花き業者ではないが、たくさんの観葉植物を店内においており、消費者がまた室内におくことを希望している。
イケアの環境への取り組みについて述べると、イケアは低下価格化を進める上で、環境への付加を最小限でなくてはならないとしている。イケアの商品の50%を占める木材製品は大切であるので、森林産業を持続可能にするために、森林管理協議会FSC、及びWWFと協力し、ロシアの森林を守る活動を実施している。また、自然林のマッピングをロシア国内で実施している。そしてイケアのカタログはリサイクルに配慮したものを使用し、イケアの机は、木材のすべてを使用できるように、デザインになっている。すべてにおいてリサイクル可能な素材を使うよう心がけている。
 また、イケアはIWAYという行動規範を守っている。これはイケアが購入を行うときに守る規範のことである。(労働環境や環境に配慮した経済活動について規定している。)
 イケアとMPSについて述べると、イケアはヨーロッパで5年間MPSに取り組んでいる。イケアに関わるすべての生産者はMPSの承認取得が必要である。生産者が低農薬による低コストで、環境にもよい生産を行い、消費者が低下価格の商品を買えるようにすることができる。日本でもMPSの承認がはじまったので、イケアは将来的にはMPSの承認を受けた生産者からのみ購入していくと思われる。
 最後に、イケアは2008年、春に神戸ポートアイランド、夏に大阪、秋に新三郷(埼玉)への出店を計画している。そしてこれから花き業界の皆さんには、低価格で環境にやさしい植物を生産していただきたい。

<質疑応答>
 質問1.
 アメリカ、中国、ロシアへの出展があるが、出展先を決めるとき重視する点は何か?
出店国、および出店した年による戦略の違いは?
 回答
 国により違う戦略で出店している。日本に関して言うと、70年代に一度日本に出店したが、このときはロジスティックがうまくいかなかった。イケアのロジスティックは、倉庫を中心に設定し、そこから商品を各店舗に配送し、そのスタイルによって、質を落とさず、低価格で商品を供給できる。このスタイルのロジスティックが展開できるかが重視される点の一つでもある。また、イケアはコンテナを機能的に使用しているが、それができるかどうか、その場所で長期的な成長機会(需要)あるかどうか、消費者が製品を受け入れる土壌があるか、また為替レートも考慮する。2006年日本では、それらの条件がクリアされたので、出店となった。

 質問2.
 花き園芸新聞社様からのご質問:
 イケアで購入するには今家にあるものを捨てなければならないが、消耗品的に安い、低価格についてはどう考えているのか?
 回答
 家具は一生ものであるという意見もあるが、家族の形態により、家具はかわる。経済状態もかわるので、人生のさまざまな過程での変化に対応する需要にあった家具を購入してもらう。イケアは低価格ではあるが、良い質のものを提供している。高くても質が悪いときもある。日本で学んだことは、消費者は高い知識を持ち、素材、設計についてよく知っているため、良品質のものを提供しなくてはならないということである。現在デザインはスカンジナビア人がおこなっている。デザイン、品質が持続できる範囲で、低価格の商品を提供している。

 質問3
 花き園芸新聞様
 この家具はまだ使えるが、あきてしまい捨てるということもある。イケアは下取りしたりしてくれないのか?
 回答
 イケア中古家具はストックホルムでは新聞上で取引されている(売ります買います欄)。若い人たちはそれら低価格の中古品を購買している。

 質問4
 インパック 守重様
 スウェーデンの会社にかかわらず、本社がオランダにある意味は?
 回答
 創立者が、会社を他社に売却せず、しかも息子に継がせないことを決め、オランダの財団に所有権を譲渡したため。又、デザイン開発部門の本社はスウェーデンにある。

 質問5
 商品をパックされた状態で販売する場合、検品はどのように、どこで行っているのか?また、スウェーデンでデザインされた家具は、日本人の体型にフィットするのか?
 回答
 イケアでは消費者がその製品の品質に満足しなかった場合、説明無しに返品することが可能である。イケアは買っていただいて、返品していただくというスタイルで品質を維持している。また、イケアの家具が日本人の体型にあっているかどうかについて、日本への出店時には疑問視された。またその国独自の好みにも配慮する必要がある。例えば、日本ではソファーは2人用、アメリカでは3人用が売れる。大きい家具については、これは日本では売れている。小さくしてほしいというリクエストは消費者からはこない。よって経験から、体型の違いによる違和感はあまりないものといえる。

 質問6
 青山フラワーマーケット 井上社長からの質問
 イケアは独特のカルチャーを持っているが、イケアのカルチャーを維持するため日本で人を採用する時に重視した点は?
 回答
 イケア文化は、家庭が一番大切であるということであり、これがビジネスの目標である。雇用者と対話をし、会社に機能していない箇所があった場合、よく耳を傾ける。社長本人が毎日店舗に出、ビジネスの改良を進めている。イケアは成長途上にある会社であるので、毎日吸収、検討し、問題解決をしていかなくてはならない。以上のようなカルチャーであるのだか、採用するときには英語ができることも大切である。日本では女性は高い教育をもっているので、助成にはよい仕事ではないかとおもう。客の70%が女性であり、95%の発言権を家庭では女性がもっているといわれている。イケアでは女性をマネージメント、キャッシャー、販売のために多く雇用している。
イケアカルチャーを維持し広めるには、日本の精神、問題解決方法を北欧のものに調和させることも大切である。

 質問7
 法政大学経営学部3回生 宮野氏
 イケアの船橋店が開店して2日目に行ったが、車で行かないとなかなか買えない。これはメインターゲットは学生ではないからか?イケアの配送料金は高い。
 回答
 学生もターゲットであるが、ただ、主なターゲットはあくまでも家族である。船橋店は京葉線には近いので、東京から25分ぐらいで行くことができる。港北店へはイケアバスを利用してほしい。来店はできる。また、イケアは現在、配送料金を低くする努力をしているが、今は確かに高い。さらに努力していく。。

 質問8
 経済産業省 吉田氏
 ― 日本の小売の労働生産は決して高くはない。ただ効率重視のウォルマートが日本ですぐ受け入れられることもない。イケアが店舗展開をしていくなかで、どう考えるのか_
 ― ユニクロ、GAPなどベーシックな商品はあきられるとおもう。流行とベーシックのバランスはどうしているのか?
 ― 日本の流通の海外展開は限定的であると思うが、国際的に活躍するためには何が必要なのか?
 回答
 ― 日本人は自分で選択することをよしとしているということが、リサーチにより分かった。店の中を自分で歩き、売り子の説明なしで選択することが心地よいと考えているようである。全製品にプライスタグがあり、自分でセルフサービスで選ぶ。素材・生産地などの情報はスタッフに質問したければできる。日本のお客も他の客とあまりこの点では違いがない。
 ― 新製品とベーシックのバランスについては、イケアの製品のいくつかはベーシックである。ただ、新しい製品の導入を速くはかっている。5つの新しいテクスタイルを提供し、3ヶ月後には消えていくこともある。ベーシックと新製品どちらも必要であり、30%は新しいものと交換している。年間3000点は新しいものを導入し、3000点は消えていく。
 ― 日本の小売業にアドバイスできるほどは分からない。

 質問9
 国際文化学部 村尾氏
 スウェーデンは環境対策が世界一であるが、日本進出に際して、できなかったことはあるか?ISO14001に対しての取り組みは?日本の環境問題についての技術で入れたい日本の技術などは?
 回答
 MPSなどイケアの環境政策をすべての国で実施したい。農薬・GMO・などについても、なるべく厳しい形で制約していきたい。日本でもやりたいと思っている。
ISO14001については、技術的知識がないのでよく分からない。あとでお答えします。HONDAプリウスのような日本の技術はよいのではないだろうか?

以上







 








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