Entry: main  << >>
舶来の実名SNSメディア(ツイッターやフェイスブック)には、銃刀法免許を!
 実名で投稿することを前提にしたネットメディアは、日本の社会風土にそぐわない。そのことを本ブログでは再三にわたって主張してきた。嫉妬深くて未熟な日本人には、この先もさまざまな悲劇が引き起こされる。わたしの杞憂は、しだいに現実のものになりつつある。
 ツイッターやフェイスブックのような「実名SNSメディア」は、投稿する人間が公衆の面前で自らの意見を主張する。同時に、本人の生身の姿や職業や住まいなど、その存在を世間に晒すことになる。その危険を引き受ける覚悟がないと、ほんとうは実名など明らかにすべきではない。
 やってはいけないのだが、未熟な投稿者たちは、事前にそのような意識をほとんどもちあわせていない。だから、以下のような不注意による告発事件を引き起こすことになる。「やっちまったよ〜」では済まされない。

 こうした事態は、予想の範囲内のことではある。実名メディアを開放するのならば、日本の情報環境に対して、中国政府のように、(きつく皮肉をこめて言いたいのだが、)法制度面で制限を課すべきだと考える。そうでないと、第3、第4の無垢な市民の犠牲者を出してしまう。
 そうしたリスクは避けたいと思う。自分たちの息子や娘が、実際に犠牲にならないとも限らない。そして、自分自身もちょっとした不注意から、そうした悲劇を体験したいとは思わない。しかし、個人情報の公開リスクは、新規の個人メディアでは避けがたいのである。

 例えば、ふたつの事例がいま世間をにぎわしている。
 (1)と(2)とも、ちょっとした遊び心で実行しただけの「情報提供」だったのかもしれない。ところが、世間の受け止め方は、それとはまったく違っていた。
 その結果は悲惨である。ふたつの事件を覗いて見ることにしよう。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(1)都内の私立大学生がツイッターで、「レイプは別に悪いと思わない。女が悪い」とコメント。この発言がネット上で広まり、大学生の出身大学や就職内定先まで暴露されることになった。ネット掲示板などでは、「ゆとり世代の立派なご意見」、「内定を取り消せ」などの厳しい意見が飛び出している。また、問題となったツイッターは削除され、SNSサイトの本人のページは退会したことにより見ることができなくなっている。
 
(2)最近ではツイッターなどで有名人でなくとも、その発言が問題視され、騒動が起こることが少なくない。記憶に新しいものでは、サッカー選手の稲本潤一とモデルの田中美保のデート現場をホテルの従業員がツイッターで実況中継したことも。
 
誰でも世の中に意見を発することができるようなブログやツイッターだが、その発言に責任を持つ意識がなければ、騒動の種となってしまう可能性も秘めているようだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 責任がどうのこうという問題ではない。(1)の事例は、かわいそうなケースである。
 しかし、本人が実名を露出しているので、就職活動でも不利になることはまちがいない。それくらいなら、ツイッターなどやらなければよいのだが。基本的な危険性を知らせないままに、「子供たち」に便利さと不満のメディア(はけ口)を知らせている。そうした実名SNSメディアの罪は大きい。若者の将来を破壊してしまうことだってあるのだ。
 わたしなどは、かつて個人ブログが炎上したことがある。他社からHPがクラッキングの攻撃を受けたこともある。プライバシーに関して指弾されたこともある。
 なんども、ブログ記事の削除要求で、とてもくやしい思いを経験している。しかし、確信犯だから、わたしなどはそれでもよい。物書きのプロを自認している。だから、自己責任で済むのである。

 しかし、(1)の発言者は、たぶんそんな意識などさらさらなかっただろう。発言する際に、メディアに対しては、「仮免ドライバー」だったのである。実名を晒すことには、明確な意識と強い意思が必要である。
 世間に自らの意見を表出することは、反発を決然と受けとめる覚悟と、自らの発言に対するそれなりの責任感が求められる。そんなことは、これまでの日本の掟(ルール)にはなかったことだ。少なくとも、一般人には発言の規則は教えられていない。
 欧米の個人主義社会ならば、自己責任で物事が済まされる。アジアの集団主義社会では、受け止め方が異なる。自己表現に対する責任の受け止め方に、欧米とは温度差があるのだ。

 どこの雑誌社とは言わないが、『週刊××』や『日刊○○○○』など、B級ゴシップメディアには、訴訟の覚悟がある。しかし、社会的な立場が弱くて、人間的に未熟な一般が、強烈な影響力を持つ個人メディアを持ってしまっているのだ。
 日本の法律では、鉄砲や刀の使用と保持が、「銃刀法」で制限されている。実名SNSメディアは、使い方を誤ると、危険な拳銃になる。「銃刀法取締法」に抵触するくらい、他人のプライバシーに対する「殺傷能力」が強いのである。
 危ない飛び道具を規制できなければ、銃や刀を土中に埋めるしかないだろう。つまりは、匿名で目立たたなくするか、単なる「娯楽ゴシップメディア」として笑って貶めるかすればよい。あるいは、2チャンネルのように、信頼性は危ういが、匿名性の高いアングラ的な世界に潜ることにすればよい。だれにも傷はつかない。

 (存在や情報を)「隠す文化」が主流の日本人(アジア人)にとって、暴露的な所作の防衛は苦手なのである。誰かが、「それはやめておきなさい」と忠告すべきである。むかしは、大人が子供に忠告してくれた。いまは、誰もそれをやらない。
 第一、面倒くさい。余計なお世話だと殴られるかもしれない。電車のなかで、平気の平左で携帯をしている、知らない個人に注意はしたくない。月夜のない夜道が怖くなるから。
 だからではないが、「ゴシップ個人メディア」を携えて、素人が社会に打って出るのはよしたほうよい。匿名で充分である。そのために、ミクシーがあるではないか。昔の恋人や同級生は、別のルートでさがせばよいだろう。

 素人に自由にやらしてはいけない典型例が、(2)のケースである。ご本人は、軽い気持ちでやったのだろうが、結果は気の毒な結末になった。
 FRIDAYの記者ならまだしもである。「リツイート」されたら、個人の密会場面が全国民に知られてしまう。スターはいたし方がないだろう。有名税だから。
 それが有名人でないとしてもである。もしあなたの隣人が、誰かとデートしている現場を、「公共メディア」のツイッターやフェイスブックで実況放送をしたとしよう。相手は怒って、まずは訴訟ごとになるだろう。自分も実名を公表している。
 相手が特定できる分、訴訟弁護士の儲かりそうなネタを提供するだけではないだろうか? 何を好き好んで、そんなことはやめておいたほうがよい。ゴシップ週刊誌 や素人ゴシップ探偵団の機能が、こうした実名SNSで明らかになる。

 フェイスブックなどの怖さは、知らぬ間に、人情報がどこかに蓄積されてしまっていることである。その主体は、警察や国家ではない。個人企業の中にである。世界中の知識人は、そのことになぜ警鐘を鳴らさないのだろうか?
 発展途上国では、たしかに、フェイスブックが反政府活動御用達メディアとして脚光を浴びている。独裁政権の打倒には、実名SNSが大いに役に立っている。匿名でもかまわなかったはずである。
 他方で、その裏側で起こっている事態にも目をつぶらないでほしい。プライバシー情報の蓄積が進んでいるのである。個人のプライバシーを暴力団に握られたら、脅しになる。同じ情報を「マーケティング・メディア」に把握されたら、どう思うだろうか?

 ある一つの疑問を抱いて、わたしはアマゾンのURLをクリックしている。アマゾンで推奨本を、画面に表示してほしくない。しかし、わたしには、拒否権があるのだろうか? 「推奨図書を、アマゾンの注文画面に表示しますか?」などのオプションを見たことがないのである。
 そのように抗議したとしても、過去の購入履歴は、アマゾンのどこかのデータベースに記録され保存されているのである。わたしの読書傾向は、他の誰かの知りもしない人で、わたしに興味を持っているフェイスブックの読者に紹介してほしくないのである。

 さて、この論点に、皆さんはお気づきだろうか? 結構、おそろしい話ではあるのだ。
 あるとき、わたしたちが、突如、民事あるいは刑事裁判に巻き込まれた場合を考えてみよう。警察からの命令で、わたしたちのプライバシーを握っているメディア企業(グーグル、ツイッター、フェイスブックなど)に、個人情報の提出が求められる。突然のことに、自分はがおろおろするだけだ。
 誰も個人の立場を守ってはくれはしない。検察の特捜部が、厚生労働省の村木局長にした仕打ちを見てみるがよい。民間のIT企業が、わたしたちの「秘密」を握っているのである。
 それもシステマティックに、個人情報を取り込んでいるである。とても怖いことなのだ。かれらが、ある日突然、マフィアに変身しないとも限らない。それも、脅威は国内ではない。相手はすべて、米国企業である。脅威は外からやってくるのだ。
 おいおい、一体全体、日本の政府はどうするのかな? 内輪もめで喧嘩をしている場合ではない。
 わたしは、こうした事態への対応については、独裁専制国家の中国共産党のほうが、よっぽと賢いと思う。その理由は不純であり、やり方には問題がある。しかし、国際情報戦略としては、正しい方向だと考える。

 繰り返して言いたい。わたしたちのプライバシーは、もはや丸裸である。位置情報(GPS)の探査など、ほんとうに便利で危ないツールを開発したものだ。
 わたしに、もはや便利な情報機器は不要だ。そう宣言したい。それでも、生活に困ることなど、ほとんどないだろう。
 まじめに、深刻に、情報開示のリスクトレードオフを評価してみよう。もうこの辺で、米国の情報サービス会社に、大和国の個人情報は触ってほしくないなあ。(笑い)
 わたしは、臆病な民族主義者である。断固として、黒船の入港は拒否したい。だから、ツイッターにもフェイスブックにも登録していない。グーグルもできればだが、使いたくはない。
| Kosuke Ogawa | 21:13 | - | - | pookmark |

Calendar

 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    
<< April 2019 >>

Profile

Recommend

Recommend

Recommend

Recommend

Recommend

マネジメント・テキスト マーケティング入門
マネジメント・テキスト マーケティング入門 (JUGEMレビュー »)
小川 孔輔
日本でいちばん分厚いマーケティングのテキスト(全800頁)。事例集やマーケティング辞典としても使用可能。

Search

Entry

Category

Link

Archives

Feed

Others

無料ブログ作成サービス JUGEM

Mobile

qrcode