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(その37)「北京の買い物事情」『北羽新報』(2019年8月27日号)

NEW!先月の地元紙への連載記事は、北京花博を視察したときに感じた中国のショッピング事情。躍進著しい中国の首都は、ワシントンDCを目指していた。市中心部からは、住民が強制的に郊外に移転させられ、伝統の屋台も花屋もスーパーも、北京の中心部からは姿を消していた。

 「北京の買い物事情」『北羽新報』(2019年8月27日号)
 文・小川孔輔(法政大学大学院教授)
 
 政府の命令により、農民から耕作地を取り上げたり、一般市民の住居を別の場所に移転させることが中国では簡単にできます。郊外の花博会場も、少し前までは農民が住んでいた場所のようです。庶民に土地の所有権が保障されていませんから、工場や道路の開発は容易です。高速道路や地下鉄の総延伸距離が、十年間で世界一になったのも開発が楽だからでした。
ところで、北京に来てすぐに、法政大学の大学院に留学してきた中国人の女子学生に、北京の料理事情について、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を通して尋ねてみました。彼女は20代後半の社会人学生で、北京の出身らしいのです。
 彼女への質問は、「市内にスーパーがほとんどないみたいですが、食事はどのように準備するのですか?若い人は料理をしないのですか?」でした。彼女からの返答は、「子供のいる家庭や両親と一緒に生活している家庭は料理をします。それ以外は、平日だと外食と出前が多いですね。料理を作るのは、週末と祝日くらいかなぁ」。
 彼女に突っ込んだ質問をしてみました。「若い人は料理はやらないのですね。包丁は持っていますか?」。この質問には、「包丁ですか。微妙ですね。笑、中国にいるときは持っていませんでしたね」。いまの若い日本人も同様のようです。想像の通りでした。
かつては北京でもウォルマート(米国資本)やカルフール(フランス資本)が繁盛していました。今はスーパーでは「物美市場」(WUMART)や「華聡」などが残っている程度です。日本から進出して一世を風靡した「イトーヨーカ堂」は、10年ほど前に北京と成都から撤退しています。都心で生活する人がいなくなり、残った若い人も忙しいので、食料品をネットで購入するようになっているようです。
 もしかすると、北京市内だけでなく、中国全土でも食品スーパーが成り立たなくなっているのかもしれません。午前中に訪問したWUMARTは、30年ほど前に日本の技術を導入して始めたスーパーのようです。野菜や精肉は、量り売りが基本です。ちなみに、北京のイトーヨーカ堂でも野菜の売り場では、店員さんが量り売りを手伝っていました。
 生鮮品も加工食品も品ぞろえは豊富ですが、牛乳の値段を見て驚きました。900ミリリットルの紙パックが、12元〜20元(180円〜300円)。品質はまずまずに見えますが、衛生的には不安を感じるくらいの清潔度でした。パンやラーメンなど加工食品の値段は、日本と比べてもそれほど安いはない気がします。賃金が高騰しているので、このまま行くと日本と物価は同じくらいになりそうです。
 なお、宿泊先のホテル・ニューオータニの隣が、コンビニのローソンでした。水とビールを買うために店内を覗いてみました。店舗の大きさは日本の半分くらい。カウンターコーヒーやイートインコーナーなどもありました。品ぞろえもほぼ日本と同じで、唯一の違いがレジでの精算の方法です。買い物客の全員が、スマホでバーコードをかざし、キャッシュレスで支払いを済ませていました。現金払いはわたしたちだけ。お客さんの中の女子比率が高く、飲料とスナックが売れていました。夜9時過ぎなのに繁盛しているのは驚きでした。
| Kosuke Ogawa | 07:07 | - | - | pookmark |

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