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JFMA南米研修ツアー2015(#9): コロンビアの花産業、6年後に感じたこと
 コロンビアの花き展示会は、賑やかに2日目を終えていた。PROFLORA2015は、日本のIFEXやドイツのIPMとは異なり、やはり生産地での展示会。商談会というよりは、どこかお祭り騒ぎの感覚がある。会合の目的は、品質のよいフレッシュな切り花を世界の輸入業者に向けて展示することに尽きる。
 当たり前だが、ヨーロッパの種苗会社がたくさん来てはいるが、主役はコロンビアの生産者たちだ。主催も展示会の会社ではなく、アスコルフローラ(コロンビア切り花輸出協会)のメンバーたち。ここは、仲間内で年に一回集まるミーティングポイントになる。
 6年ぶりでの訪問で、二つのことを感じた。2009年の訪問で、わたしはコロンビアがオランダを追い抜く可能性を示唆した。しかし、花産業の開発センターとしては、依然としてオランダが主導権を握り続けている。

 理由は単純で、コロンビアは生産国から脱皮する気配をあまり感じなかったからだ。常春の気候条件と、労働者の雇用環境の点で、コロンビアはあまりにも恵まれている。それに対してオランダは、高賃金と北半球という不利な栽培環境下で、花生産の海外移転とさらなる技術開発に、国を挙げて資金と人智を投じてきた。百年間の蓄積は馬鹿にならない。

 二番目は、今度の視察で、コロンビアの弱点が見えてきたことだった。一緒にツアーに同行してくれている阿比留さんと話したのは、この国の花産業を支えている基盤に、厳しい階級社会という現実があることだ。
 一時のように、爆弾テロや誘拐事件こそなくなったが、この国では、最下層の人たちが花やコーヒーなどの農業生産を支えている。一握りの豊かな農場主は、カーディラーもコカコーラのボトラーも、はたまた乳畜産業も経済的な営みの一つの選択肢である。
 オランダとの違いはこの辺にある。コロンビアの事業家にとって、極論すると、花産業は新しく取り組んだビジネスの一つに過ぎない。大量生産の優位性と低賃金の労働者のプールが枯渇しない限りは、フラワービジネスは収益性の高い割のよいビジネスであり続ける。

 本日訪問したAYURAは、米国と日本向けに高品質の花を生産していた。生産効率を追求するのではなく、品質での勝負である。このタイプの生産者は、高い利益と競争優位性を維持できるだろう。
 しかし、二番目に訪問した農場は、典型的な量産型のカーネーション栽培農場だった。米国や日本を市場とする限りは、為替変動や好不況の波に揉まれていく。コスト競争と需要開拓を同時に進めている。厳しい時代を生き延びていくのは、結構難しそうだ。

 コロンビアのいまをデータで示してみる。本日、クリザールの海下さんの仲介で、輸出協会長のソラノさんが、短時間だかインタビューに応じてくださった。
 コロンビアの花の輸出は、2014年で14億ドル(約1600億円)。2009年は、約1200億円だった(前回の記録による)。輸出金額としては、オランダの約3分の1に迫っている。
 しかし、2009年のリーマンショック後に米国経済が低迷して、コロンビアの花産業では倒産が相次いだ。2013年から回復基調に入ったが、 「厳しい中での緩やかな回復に過ぎない」(ソラノ協会長)。コロンビアがグローバル経済に組み込まれている限り、この状態は続いていくだろう。

 2009年のコロンビア訪問で、わたしは、三つの多様化が進んでいくだろうと予見した。1.輸出先国の多様化、2.栽培品目の多様化、3.付加価値の多様化である。
 これらの3つの傾向は、緩やかに進行しているようだ。栽培品目のほとんどを占めていた、カーネーションとバラ(それぞれ30〜35%)以外の栽培品目が増えている。構成比は不明だが、展示会のブースの露出から推測するに、10%を超ているのではないか。アルストロメリアやスターチスなどが目立っていた。
 輸出先の多様化も、徐々に始まってはいる。もっとも、数値を見る限り、米国依存は変わらない。輸出の75%がアメリカ向けだ。ロシアと日本が第二の輸出先国で、シェアは4〜5%。第4位の英国(4%)以下は、その他大勢の国になる。
 三番目の付加価値の多様化は、6年前に確認したことだ。マイアミ経由で米国に向かう90%の花のうち、かなりの部分が産地で花束加工されていた。スーパーなどの量販店向けでスリープにはバーコードが貼られていた。

 コロンビアの優位性は、とはいえ、最大の輸出先である米国市場によって支えられている。印象としては、その他の国への市場拡大は、アフリカ(ケニア、エチオピア)やアジアの国(マレーシア、ベトナム)との競争品質になるから、地政学的な壁を乗り越える必要がある。
 ソラノ氏によると、コロンビア政府は、大規模なインフラ整備に着手するとのこと。2年前の新しい空港整備は、その一環だったのだろう。もっと必要なのは、オランダのような品種開発や技術蓄積だと感じる。
 なお、世界の潮流は、三大作物(キク、バラ、カーネーション)から多様な草花類を求めるようになっている。コロンビアは、これには対応出来そうに思う。明日の視察が楽しみだ。
| Kosuke Ogawa | 19:25 | - | - | pookmark |

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